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三部制の資金繰表では,月々の資金繰りも総合的にみてゆくことができるようになります。
資金移動表とはどんなものか収支計算の2つの方法(直接法と間接法)現金出納帳や入金伝票・出金伝票では,収入(入金)の額,支出(出金)の額をそのまま記録表示します。
そのように,収入の額と支出の額をそのまま,したがっていわば直接に,計算表示する方法を直接法といいます。
収入の額,支出の額のつかみ方としては,ふつうこのような方法(直接法)が行なわれてきています。
いわば「取り引き」の発生とその代金の決済とが期間的にふつう異なる諸収支,したがって経常収支(売上収入,営業外収益の収入と材料代支払い,人件費支払い,その他諸費用の支払い)や,固定資産関係の収支個定資産の売却収入と固定資産代支払い)などは,もちろん直接法でも,その収入と支出の額がつかめますが,間接法という方法でも,収支の額がつかめます。
資金移動表というのは,紙面や資料の関係で,経常収支については,場合によっては,固定資産関係の収支も,間接法で支出の額,収入の額を計算表示するものです(財務関係等の収支については,返済を差し引きした正味の借入(純借入),借入を差し引きした正味の返済(純返済)など,純収入,純支出を表示)。
(後述の資金運用表参照)M工業会社(鉄鋼業の会社,以下M社と略称する)の当期の財務諸表等は,以下のとおりです。
M社の事例で。
間接法という方法で,経常諸収支(決算関係支払いを含めて)と有形固定資産関係の収支を計算する方法を具体的に説明してみましょう。
間接法による経常諸収支の計算売上収入未収の売上代金,したがって売掛債権がある場合には,当期(当月などとしてもよい)の売上収入(売上代金収入)は,つぎの算式でつかめます。
なお,売掛債権というのは前にも説明したように,未収の売上代金ということであって,受取手形(割引手形,裏書譲渡の手形があればこれを合計)と売掛金です。
この売上収入の計算方式を,会計で行なわれている計算方式(いわば会計方式)で示すと,つぎのようになるわけです。
売上代金の前受かある場合,したがって前受金がある場合には,当期の売上収入はつぎの算式で計算できます。
したがって,売掛債権(受取手形,売掛金)とともに,前受金もある場合は,売掛債権は[(受取手形,売掛金)一前受金],つまり前受金を差し引きした正味の売掛債権とすると,簡単になります。
M社の場合では,当期この場合は今期)の売上高は8,250万円(表5-3損益計算書で表示),売掛債権は,今期末では受取手形2,650万円(割引手形1,000万円を合計),売掛金1,250万円,合計3,900万円,前期末(今期の期首)では受取手形2,450万円(割引手形1,500万円を合計),売掛金1,050万円,合計3,500万円(表5一4貸借対照表で表示)です。
前受金は,貸借対照表をみるとありませんから,今期の売上収入はつぎのようになります。
今期売上収入=今期売上高8,250-(期末売掛債権3,900または今期売上収入=今期売上高8,250-売掛債権増加400営業外収益の収入未収の営業外収益(未収収益)がある場合には,当期の営業外収益の収入(収入高)はつぎの算式でつかめます。
=期首未収収益十当期営業外収益一期末未収収益=当期営業外収益-(期末未収収益一期首未収収益)=当期営業外収益一未収収益増加営業外収益の前受(前受収益)がある場合には,当期の営業外収益の収入はつぎの算式で計算できます。
=当期営業外収益一期首前受収益十期末前受収益=当期営業外収益十(期末前受収益一期首前受収益)=当期営業外収益十前受収益増加M社の場合では,当期の営業外収益は100万円(損益計算書で表示)ですが,貸借対照表をみると,未収収益も前受収益もありませんから,当期の営業外収益の収入は営業外収益100万円となります。
材料代(または商品代)支払い未払いの材料仕入代金(商業の場合は商品仕入代金),したがって買掛債務がある場合には,当期の材料仕入代金の支払い(支払高)はつぎの算式でつかめます。
なお,買掛債務というのは,前にも説明したように,未払いの仕入代金ということであって,支払手形(ただし原材料,商品仕入関係の支払手形)と買掛金同じように仕入関係の買掛金)です。
なお,この材料代の計算の方式を会計で行なわれている計算方式で示すと,つぎのようになります。
材料(商業の場合は商品)の仕入代金の前渡し,したがって前渡金がある場合には,当期の材料代(商業の場合は商品代)支払いはつぎの算式で計算できます。
買掛債務は[(支払手形,買掛金)一前渡金],つまり前渡金を差し引きした正味の買掛債務とすると,簡単になります。
M社の場合では,今期の材料仕入高は5,250万円(表5-5製造原価明細書で表示),買掛債務は,今期末では支払手形1,950万円(原材料関係の支払手形とする),買掛金1,900万円,合計3,850万円,前期末(期首)では支払手形1,800万円(原材料仕入関係の支払手形とする),買掛金(仕入関係の買掛金とする)1,500万円,合計3,300万円です(貸借対照表で表示)。
貸借対照表をみると,前渡金はありませんから,今期の材料代支払いはつぎのようになります。
今期材料代支払い=材料仕入高5,250-(期末買掛債務3,850-期首買掛債務3,300)=4,700(万円)または今期材料代支払い=材料仕入高5,250一買掛債務増加550=4,700(万円)人件費支払い賞与引当金は賞与という名の人件費の後払いであって,人件費の未払いとみなすことができます。
当期の人件費支払い(支払高)はつぎの算式でつかめます。
人件費の支払高をつかむわけですから,退職給与引当金繰入という支払いの生じない人件費があれば,当期の人件費から除き(控除),反対に退職給与引当金取崩による支払いがあれば,それを人件費(または人件費支払い)に加えること,つまり,支払いのある人件費(有払いの人件費)とすることが必要です。
つぎの算式で,当期の人件費から退職給与引当金繰入を引き,退職給与引当金取崩を加えているのは,そのためです。
未払人件費増加M社の場合では,人件費は,製造費用中の人件費(労務費)950万円,販売費および一般管理費中の人件費200万円,合計1,150万円ですが,このうちの退職給与引当金繰入は,労務費と販売費および一般管理費中の人件費に含まれています。
また貸借対照表の退職給与引当金個定負債)をみると,前期末300万円,今期末310万円で,退職給与引当金が10万円増加しています。
退職給与引当金の繰入が10万円あったとみられます。
また貸借対照表(流動負債)をみると,賞与引当金のような未払いの人件費はないとしますと,今期の人件費支払いはつぎのようになります。
今期人件費支払い=人件費1,150-退職給与引当金繰入諸費用の支払い諸費用とは,製造業では,製造経費,販売費一般管理費(人件費を除<),および営業外費用です。
商業では,販売費一般管理費,および営業外費用です。
その他諸費用には,減価償却費,貸倒引当金繰入,有価証券評価損などのような無払いの費用がありますから,無払い費用を除いた諸費用(有払いの諸費用)で,諸費用の支払いを計算しなければなりません。
未払費用増加費用の前払いがある場合には,当期の諸費用の支払いはつぎの算式で計算できます。
したがって,未払いの諸費用とともに,前払いの費用がある場合は,未払費用は[未払費用一前払費用],つまり,前払費用を差し引きした正味の未払費用とすると,簡単になります。
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